きみと繰り返す、あの夏の世界


「初めてだよ。だから少し……戸惑ってる」


……戸惑う?


「怖いって事?」


そんな素振りは見えないけど、恐怖心はあって戸惑いがあるということだろうか。

そう思って聞いたら、先輩は僅かにハッとした様子を見せてから。


「あ……ううん。そうじゃないよ」


否定し、薄く柔らかい笑みを浮かべて。


「俺は平気。真奈ちゃんのことはしっかり守るから安心して」


先輩はまた、私の恋心を刺激する言葉を発したのだった。


それから──


「あとは……職員室と図書室ですね」


1階廊下で発した私の声に、水樹先輩が「そうだね」と頷く。

2階は特に変わったものは見つからなかった。


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