きみと繰り返す、あの夏の世界
ワックスで毛先をツンツンと跳ねさせ、オシャレに整えられた黒髪。
長めの前髪から覗く瞳は涼しげで、彼のクールな性格を表していると思う。
「おはよ、藍(あおい)君」
空いていた隣の席に腰を下ろしながら挨拶をすると、藍君はチラリと横目で私を見て。
「はよ」
藍君は特に笑顔も浮かべないまま短く応えると、窓の外に流れる景色に視線をやった。
私と同じ学園の制服を身に纏った彼、玉森(たまもり)藍君は、私と同じ年だ。
彼と私は小・中・高と学校が一緒で、何度か同じクラスにもなっている。
それでも、特に仲がいいわけでもなく過ごしてきたんだけど、昨年入った生徒会に会計として藍君も入って。
仲間として活動しているうちに、以前よりも気軽に話せる友達になれている……と、私は思ってる。
「1週間ぶりだね」
「そーだな」