きみと繰り返す、あの夏の世界
「また水樹においしいところを持っていかれたっ」
悔しそうに言うと、さめざめと泣き始める。
会長の様子に三重野先輩がイライラした様子を見せて。
「もう! メソメソしてないで! その鼻水も拭きなさいよまったく」
綺麗にアイロンがかけられたハンカチを差し出した。
「優しいな副会長。お礼に、さっきくじ引きでゲットした光るおもちゃをあげるよ」
そう言って、会長がポケットから取り出したのは小さなアヒル。
チープな作りで、紐がついてることから一応ストラップになるらしい。
「ちょっと。これさっきハズレだって言って騒いでたやつじゃない。失礼ねっ」
「まあまあ、遠慮せずに」
「いらないわよこんなのっ」
会長と三重野先輩のやり取りが楽しくて小さく笑うと、同じように水樹先輩も笑ってて。
「また転びそうになったら、遠慮なく俺に掴まって?」
言われて、私が「はい」と頷くと。
祭りの喧騒の中で聞こえた水樹先輩の声に、私は頬を赤らめた。
「2人だったら、手を繋いだんだけどな」
ああ、今日は
とても暑いです。