きみと繰り返す、あの夏の世界


「当時、生徒たちも神隠しじゃないかと噂してたけど、なんせ存在してないからなんともなぁ」


先生が苦笑いを漏らすと、会長がスマホを取り出した。


「その男子生徒の名前と連絡先ってかわかりますか?」

「わかるけど、知ってどうするんだい?」

「直接会って、覚えてる事があれば知りたくて」

「うーん……何の為に?」


日長先生が眉をひそめて首を傾けた。

すると、赤名君が身を乗り出して。


「もちろん、学園の平和の為ですっ」


ガッツポーズと共に口にすると、先生はハハッと笑う。


「学園の平和ねぇ。まあ、彼なら優しい子だし大丈夫だろう。実家の連絡先のみになるけど、いいかな?」

「はい! ありがとうございますっ」


会長が爽やかな笑顔でお礼を告げれば、日長先生は男子生徒の名前だけ教えてくれて、あとは職員室に戻ってから調べると言って生徒会室を出た。

連絡先は会長が帰りに確認しに行くことに決まり、この日は解散となった。



< 190 / 381 >

この作品をシェア

pagetop