きみと繰り返す、あの夏の世界
陽が傾きかけた屋上は、昼間の熱を溜め込んでいるせいかムワッとしていて暑い。
そんな中、私は1人、色を変え始めた空を見上げて溜め息を吐いた。
生徒会のみんなはとっくに帰っている。
けれど私は、適当に理由をつけて学校に残っていた。
先生の話が頭の中をぐるぐると回っていて帰る気になれなかったのだ。
彼女を探していたという男子生徒の話は、気味が悪いほどに記憶にある光景と同じで不安になる。
先輩が消えて。
必死に探して。
自分の携帯からもその存在が消えかけていった。
そして……
先輩の背中を追った先が、この屋上。
私は、頭の中に残っている記憶の糸を必死に手繰り寄せる。
ここに来た時、先輩は……
そう、先輩の姿はなかった。