きみと繰り返す、あの夏の世界
「少しもらっていい?」
「えっ……」
そ、そそそ、それって、間接キスになっちゃいますけどいいんですか先輩っ。
いや、良くないはず。
ここはマナーとして、清潔にしてから渡すべきだと思い、私はコクリと頷いて。
「じゃあ、飲み口を拭きま──」
ハンカチをポケットから出そうとしたら。
「そのままでいいよ」
水樹先輩は、私の手からジュースをひょいっと取って……
躊躇いもなく、口をつけた。
コクリコクリと、先輩の喉が動く。
そして、飲み口から唇を離すと、満足そうに笑って。
「うん、美味しい。ありがとう」
私の手に、戻した。