きみと繰り返す、あの夏の世界
【XXI】場所が違っても
目的地までは電車を3回乗り継いで、合計4時間。
別荘に到着したのは陽が暮れはじめた頃だった。
「わ……凄い」
私は会長の親戚が所有する別荘を前に、思わず声を漏らしてしまう。
実は、ここに来るまでは洋風のオシャレなものをイメージしていたんだけど、まったくの逆だった。
目の前にある別荘は瓦屋根の純和風な二階建ての一軒家。
広い庭園には池もある。
中に入れば、ほとんどの部屋が和室で、日当たりは良好。
テラスからは海も眺められて、私たちのテンションは上がりっぱなしだった。
男子と女子の部屋を決め、荷物を置くとまずは私服へと着替える。
私は、皺にならないように制服をたたんで、ショート丈のサロペットに薄手のパーカーを羽織った。