きみと繰り返す、あの夏の世界
──夕食後。
私と三重野先輩は食器を片付けていた。
「それにしても、すごく美味しかったですね」
「そうね」
今日の夕食はカレー。
買出しは会長と赤名君と水樹先輩が行ってくれて、調理はなんと藍君。
私と三重野先輩も手伝ったんだけど、藍君は自分の好みで作りたいからと、私たちにはサラダとお米の用意だけ頼んだ。
藍君の作った隠し味が決め手だというカレーはとても美味しくて、私たちは大満足。
褒めちぎる私たちに藍君はそっけない態度だったけど、私は見逃さなかった。
ちょっとだけ嬉しそうに口の端が上がったのを。
ちなみに、水樹先輩は人参が苦手らしい。
自分の分のカレーに入っていた人参をスプーンで運び、私のお皿に乗せてこう言った。
「栄養満点だからあげる」