きみと繰り返す、あの夏の世界


「早く。朝ごはんできちゃうわよ」

「わ、わかりました」


急かされて、私は2階に上がった。

そして、部屋の前に立つと。

──コンコン。

2回、ノックして。


「水樹先輩?」


声を掛けてみる。

だけど返事はない。

まだぐっすり寝てるんだろう。

私はまたノックして、今度は少し大きめに声を掛けた。


「水樹先輩、朝ですよー!」


…………。

…………。


中からは、返事はおろか物音さえもしない。

仕方ない。

いつもと違って屋上じゃないからちょっと緊張するけど、入らせてもらおう。


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