きみと繰り返す、あの夏の世界
【XXIV】トラウマ
「日焼けクリームよしっ!」
バイトの日。
大きなハートマークが気に入って買ったタンクトップに、ショートデニムパンツというコーディネートで海の家に立つ私は、バイトが始まる前に日焼け止めクリームを塗った。
しっかりと、念入りに。
思い出したのだ。
このバイトで私は日焼け止めクリームを塗り忘れてしまい、数日間に渡り痛い思いをしたことを。
知っている事は活かし、失敗は繰り返さない!
今の状況がよくわからないとしても、私は私の脳内に残るものを前向きに使う!
「はい、もっちー。これエプロンね」
一人心の中で意気込んでいると、すでに朱色のエプロンをつけた赤名君から同じ色のエプロンを手渡される。
私はそれを受け取り身に着けながら、ここに来る時に聞いた話を思い出していた。