きみと繰り返す、あの夏の世界
「まーなちゃん。まだ帰らないの?」
会長の声が耳に届いて、私は落としていた視線を机の上から会長へと移す。
「あ……はい。これ、まとめてから帰ります」
私の手元には今月末に行われる体育祭の資料。
書記の私は、これを元に生徒会から発行される新聞を作らなければならない。
……いつもなら、水樹先輩と一緒に作っていたもの。
だけど、先輩はなぜか、みんなから忘れられてしまっている。
生徒会のメンバーだけじゃなく、学校中のみんなからも。
名簿に載っていた名前も消えていた。
まるで最初から『影沢水樹』という人物などいなかったかように。