きみと繰り返す、あの夏の世界


そんな状態の私を、水樹先輩はゆっくりと自分の背中に隠すように立つ。

そして、手にしたスマホを見せびらかすように数回揺らして。


「恐喝してる一部始終、ムービーにしっかり収めたから」


怒りを滲ませた声で告げた。

途端、さっき私を突き飛ばした人が水樹先輩に殴りかかろうとする。

けれど水樹先輩は、私をかばいながらひょいっと相手の拳を上手にかわした。


「先輩、すごい……」


思わず声を漏らすと、水樹先輩は私を振り返って微笑んだ。


「動体視力と反射神経はいいんだ、俺」


余裕そうな水樹先輩の姿が癪に触ったんだろう。


「くっそ。なら3人相手にしてみろオラ!」

「その携帯渡せや! ぶっ壊してやる」


卑怯にも、彼らは3人で水樹先輩に向かい攻撃の態勢に入った。


その、刹那。


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