きみと繰り返す、あの夏の世界


親友という言葉に、元クラスメイトの彼らが訝しげに眉を寄せる。


「お前の親友って……んなわけあるか。だってその親友が、赤名が盗ったって言ってたんだぞ」

「そう。だから、親友だと思ってたのは、僕だけだったってことだよ」


……そうか。

そうだったんだ。

赤名君が人を信じられなくなった理由は、信頼していた親友に裏切られたから。

罪を擦り付けられたんだ。

でも、赤名君は親友が犯人だとは告げなかった。

誰にも告げず、裏切られ、クラスメイトから非難されても尚、自分の中にしまい続けた。


だけど、しまい込んできたものを今口にしたのは……


私たちを、助ける為……なんだろう。


赤名君の優しさに、私の胸が熱くなる。


「はっ、いまさらそんな話信じられるか」


バカにしたような声に、赤名君が瞳を伏せた時──


「俺は、信じるよ」


水樹先輩が微笑みながら、いつもよりもハッキリとした声で言った。


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