きみと繰り返す、あの夏の世界
【XXIX】見送らせて
平穏な朝だった。
天気もよくて、程よく風も吹いていて。
バスで会った藍君と一緒に生徒会室に入った時も、先に登校していた会長と赤名君が昨日のバーベキューの話で盛り上がっていた。
水樹先輩もいつものごとく、少し眠そうにしながら登校してきて。
本当に、普段通りのペース。
だけど……
「おかしいわ」
生徒会室に入ってきた三重野先輩の表情だけは曇っていた。
水樹先輩が私の隣に座るのを視線の端に映しながら、私は三重野先輩に声を掛ける。
「何かあったんですか?」
すると、三重野先輩は綺麗な顔を心配そうに歪めた。
「3匹ともいないのよ。餌も昨日の夜の分が残ったままだし……」
どこかでウロウロしているだけならいいけど、と三重野先輩が零す。