きみと繰り返す、あの夏の世界
「今まではちゃんと帰ってきてましたよね」
私は、今までの子猫たちの行動を思い出しながら話した。
三重野先輩が「ええ」と頷くと、水樹先輩が眉を寄せる。
「でも、変だ。3匹でいなくなるなんて」
言われてみれば、確かにそうだ。
1匹だけいなくて、いつの間にか帰ってきてるのはよくあったけど、3匹でいなくなる事はなかった。
いないとしても、すぐ傍の日陰に3匹とも移動している程度だったのに。
「行動範囲が広がっただけなんじゃないんスか?」
藍君が言うと、赤名君が続けて声を出す。
「あ。それで、広がりすぎて迷子とかー?」
あり得ない話じゃないかも。
もしそうだとしたら、ヤキソバたちの為に出来ることは──と、思考をめぐらせ始めた時。
「今から探しに行こう!」
会長の明るい声が生徒会室に響く。
だけど、三重野先輩の表情に戸惑いが浮かんだ。
「そうしたいけれど、今日は始業式の挨拶と──」
「そんなの明日やればいいさ。明日で間に合わないなら俺が来週作る。だから今は、ヤキソバたちが最優先だ」
そうだろ? と微笑む会長に、私たちは皆で頷いて。
連絡用にとそれぞれ携帯を持ち、学園を飛び出した。