きみと繰り返す、あの夏の世界
「どうして……」
先輩の存在が、こんなにも綺麗に消えてしまうなんて。
だけど、確かに私は覚えている。
わけのわからない現状に、私の心は朝からずっと不安でいっぱいなままだ。
カバンを持つ手にキュッと力をこめた時、ふと思い出す。
スマフォに登録されているはずの、水樹先輩の番号やアドレスを。
私は急いでカバンを開けると、中からスマートフォンを取り出した。
画面をスライドしてロックを外し、連絡帳から水樹先輩の名前を探す。
──けれど。
「……ない……」
昨日まであったはずの先輩の名前は、いつの間にか消えていた。
それはLINEも同様で……
「何が、起こってるの?」