きみと繰り返す、あの夏の世界
【XXXII】君ならきっと
「もうそろそろ10年になるかな」
会長は、幼児用に作られたブランコを見て、懐かしそうに目を細める。
「俺さ、小さい頃からずっと太ってたんだ」
それは、意外な告白。
今の会長は顔だけでなくスタイルも抜群だ。
故に、過去の会長が太っていたなんて想像もできなかった。
「で、そのせいでみーんなからからかわれて、苛められてた」
「ひどい。どんな理由があっても、いじめは良くないのに」
そう言うと、会長は何故かおかしそうに肩を揺らして小さく笑った。
「私、おかしいこと言いました?」
「ううん。そうじゃないけど、変わらないなって思ったから」
「え?」
瞬きをして、会長の言葉の意味を探す。
けれど、それを見つける前に、会長が教えてくれた。