きみと繰り返す、あの夏の世界

【XXXII】君ならきっと



「もうそろそろ10年になるかな」


会長は、幼児用に作られたブランコを見て、懐かしそうに目を細める。


「俺さ、小さい頃からずっと太ってたんだ」


それは、意外な告白。

今の会長は顔だけでなくスタイルも抜群だ。

故に、過去の会長が太っていたなんて想像もできなかった。


「で、そのせいでみーんなからからかわれて、苛められてた」

「ひどい。どんな理由があっても、いじめは良くないのに」


そう言うと、会長は何故かおかしそうに肩を揺らして小さく笑った。


「私、おかしいこと言いました?」

「ううん。そうじゃないけど、変わらないなって思ったから」

「え?」


瞬きをして、会長の言葉の意味を探す。

けれど、それを見つける前に、会長が教えてくれた。


< 309 / 381 >

この作品をシェア

pagetop