きみと繰り返す、あの夏の世界
「ま、待って……待ってくださいっ」
私は急ぎ、水樹先輩の姿を追った。
廊下を駆け、階段を見る。
一瞬、踊り場を曲がった先輩の姿が見えて。
「水樹先輩!」
声をかけたけど、先輩からの反応はない。
前は、廊下で見かけて声をかけると足を止めてくれたのに。
柔らかい笑みを浮かべて「真奈ちゃん」と、私の名前を呼んでくれたのに。
私は階段を駆け上がり、先輩の後ろ姿を追いかける。
3階から4階へ。
先輩を追いかけ、気づけば目の前には屋上への扉。
灰色の扉に取り付けられている小窓からは、夕焼けに染まる屋上が見える。