きみと繰り返す、あの夏の世界


実は、会長の地元はこの辺りではないらしい。

中学3年生の時に、ご両親の都合で引っ越すことになったらしく、進学先を瑚玉学園にしたのだそう。

それまではずっと他県に住んでいたそうだ。


その県は、私の母方の祖父母の家がある。

パッと思い出し、私がその事を口にすると、会長は「知ってる」と言った。

不思議に思うも、きっとそれも繋がるのかなと考え、私は口をつぐむ。


「小学校に上がってからかな。太ってるからっていじめられるようになったのは」


幼い子供だからこその言葉の暴力。

ストレートな言葉によるいじめは、2年生になると悪化。

石を投げられたりするようになったのだと、会長は苦笑いしながら話した。


「石って、怪我しちゃうじゃないですか!」

「したねー。まあ幸い大した怪我じゃなかったけど」


……普通に話してるけど、きっと当時の会長にとっては辛い経験だったはず。

その心の痛みを想像すると、胸が締め付けられた。


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