きみと繰り返す、あの夏の世界


会長が解散を告げて、私が今日もらった資料を鞄に詰め込んでいると。


「真奈ちゃん」


私の傍に会長が立った。


「水樹から連絡あった?」

「……いえ、何も」


昨日、公園で会長に励まされ勇気を貰った私は、少しでも水樹先輩と話したくて連絡を入れた。

でも、今の今まで音沙汰がない。

もしかして神隠しにあってしまったのではと心配もしたけど、生徒会のみんなが覚えているからそれはないようだった。

それでも、安堵感は少しだけ。

このままじゃ本当にいなくなってしまうんじゃないかと不安になる。


先輩の声が聞きたい。

会いたい。


でも、あの冷たい瞳を思い出すと躊躇われてしまう。

誰にも気付かれないように小さく息を吐き出した時、会長が腕を組んで唸った。


< 318 / 381 >

この作品をシェア

pagetop