きみと繰り返す、あの夏の世界
赤名君は鞄を肩に掛け、「お先でーす」と挨拶を残して生徒会室を去った。
会長と三重野先輩は職員室に用事があるらしく、帰りがけに寄るようで、2人揃って出て行く。
残された私と藍君の視線が合って。
お先、なんて言葉がかかると思っていたんだけど……
「帰らないの?」
「え?」
「降るかもしんないから、急ぐぞ」
藍君は、顎で合図し私を待ってくれた。
私は頷いて立ち上がり、鞄を手にすると藍君と一緒に学園を出る。
不意に空を見上げれば、少し離れたところを黒い雲が覆っていた。
「ホント、降りそうだね」
私が呟くと、藍君はそれに対してコメントはせず……
「影沢先輩、どうしたの?」
水樹先輩の事に触れてきた。