きみと繰り返す、あの夏の世界

【XXXIV】未来を捨てて



うまく呼吸ができない。

走り続けて、息がこれ以上ない程に乱れている。

足ももつれて、今にも転びそうになりながら、それでも私は必死に足を前へと進めていた。


ただ、水樹先輩に会う為に。


「はぁっ……はっ……」


ようやく辿り着いた黄水神社。

鳥居をくぐると、走りすぎて痛くなった胸を手で押さえながら辺りを見回した。

今にも雨が降り出しそうな天候のせいか、人の気配がない。

会長もすでに帰ってしまったようだ。


「み…ずきっ……せんぱ、いは……?」


水樹先輩の姿もどこにも見当たらなくて一瞬焦る。

でも、さっき会長が、境内の方に上がって行ったような事を電話越しに教えてくれたのを思い出して。


私は、前方に見える長い階段めがけ、脇にじゃりの敷き詰められた参道を走った。


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