きみと繰り返す、あの夏の世界
「夢じゃ、ないんですか?」
だとしたら、何?
それに、先輩は何を知っているの?
自分だけでなく、水樹先輩にも何かが起きている。
そんな予感を持ちながら聞くと。
「最初はそう思うんだ。俺もそうだった。でも、何度も繰り返すうちに気付く。これは現実だって」
水樹先輩は、自分の体験談として話した。
「え……繰り返すって、どうやって?」
若干混乱しながらも問えば、先輩が困ったように眉を寄せた。
「場所と強い想いや願いが関係してるみたいだけど、俺もよくはわかってないんだ」
水樹先輩の語った内容には、以前高杉さんから聞いた話も含まれていて。
もしかして、水樹先輩は神隠しに関することはすでに知っていたのではと感じる。
だって、それなら辻褄が合う。
神隠しに関して特に興味がなさそうだったのも、驚く素振りが見られなかったのも、誰も知らなかった情報を知っていたことも。