きみと繰り返す、あの夏の世界
私の言葉に先輩は何も答えない。
言葉もなく、視線も私から離れて今は濡れた境内の景色を見つめていた。
私もなんとなく、同じように雨景色を眺めていたら。
「……今は、何回目の夏なんだろう?」
ポツリ、雨音にかき消されそうな水樹先輩の声。
「気が遠くなるくらい繰り返して、もう覚えてないけど……」
空からは轟音が降って。
「俺はさ、未来を捨てたんだ」
先輩の言葉が、
悲しく
私の胸を貫いた。