きみと繰り返す、あの夏の世界
【Ⅳ】目覚めた日
──風が、彼の髪を揺らす。
屋上は夕焼け色に染められて、彼……水樹先輩も、ほんのりとオレンジ色を纏っていた。
錆び付いた緑のフェンスを背にした私と、私を見つめる水樹先輩。
いつもより真剣味を帯びた彼の瞳に、私の胸は高鳴っていて。
『真奈ちゃん』
彼の唇が私の名を紡ぐと、私の心臓が大きく跳ねた。
水樹先輩を好きだと想う気持ちが溢れて止まらない。
目の前にいる彼の存在が愛しくてたまらない。