きみと繰り返す、あの夏の世界
【XXXVII】諦めない心
太陽の熱を含んだ空気が私を迎える。
肌にまとわりつくようなそれを感じながら、私は屋上を見回した。
足元に広がる薄汚れたコンクリート。
落下防止に張り巡らされたフェンス。
特に何が置かれているわけでもない広々とした場所にも関わらず……
水樹先輩の姿はなかった。
そんなはずはないのに。
途中、屋上以外に向かえるルートはない。
引き返してないなら、ここ以外に行く場所はないはずだ。
だけど、実際はここに水樹先輩はいなくて。
だとしたらどこに?
落ち着いて……思い出そう。
私は前の夏、校内で水樹先輩を見つけ、ここに辿り着いた。
そこには今と同じように先輩の姿はなくて……
それから、どうなった?
何があって、私は時間を戻った?