きみと繰り返す、あの夏の世界


そんな感じで、ワイワイしながらスタートしたプール清掃。

日差しはきついけど、素足に触れる水が気持ちいい。

プール自体は5月に水泳部員によって一度掃除されたようで、そこまで汚れてはいなかった。

少しぬるぬるしているプールの底部分をブラシで一生懸命磨いていたら。


「うわ、うわわわわっ」


焦る様な赤名君の声が聞こえて、何事かと顔を上げた直後。


「いったたたたたたた……」


滑ってしまったのか、赤名君は膝をついてお尻をさすっていた。

床には勢いよく水の出ているホースが投げ出されていて。


「赤名君、大丈夫?」


声をかけ、ホースを手にした時だった。


「あーかーなー」


藍君の恨みがましい低い声が聞こえて、彼の方を見れば。


「なにやってくれてんだお前」


ホースの水がかかったんだろう。

びしょ濡れの藍君が、赤名君を睨んでいた。


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