銀盤の国のお姫様
そして、前を向いて、助走から、左足のエッジを外側に倒し、前方に重心をのせた同時に、右足を振り上げて、高く舞う。
左回りに回転して、一、二、三、半。
後ろ向き、右足で着氷。
うさぎにとって、客の前で決めた最初で最後のトリプルアクセル。
それから、バンクーバーオリンピックシーズンに右膝を大怪我したのをきっかけに、トリプルアクセルはおろか、女子では世界初の四回転サルコウも跳ばなくなったから。
こんな運命を知っても知らなくても、華音有は、心を撃ち抜かれたように、驚いた顔のまま、身体が硬直してる。
そんな状態で、また和歌子が声かけた。
「いつか、跳べるようになるといいね。」
華音有はこの言葉は覚えてない。
それもそのはず、
『とにかく、凄かったんです。
頭がぼぉっとして、身体が動けなくなるほどですよ。』
と振り返るほどだ。
そんな彼女に、さらに和歌子が
「さっ、あれ、今やってみな。」
と言って、背中をポンと押した。
押された感覚で我に返った華音有は、首を左右に慌てて振る。
でも、
「大丈夫。」
ウィンクまでされてしまった。
左回りに回転して、一、二、三、半。
後ろ向き、右足で着氷。
うさぎにとって、客の前で決めた最初で最後のトリプルアクセル。
それから、バンクーバーオリンピックシーズンに右膝を大怪我したのをきっかけに、トリプルアクセルはおろか、女子では世界初の四回転サルコウも跳ばなくなったから。
こんな運命を知っても知らなくても、華音有は、心を撃ち抜かれたように、驚いた顔のまま、身体が硬直してる。
そんな状態で、また和歌子が声かけた。
「いつか、跳べるようになるといいね。」
華音有はこの言葉は覚えてない。
それもそのはず、
『とにかく、凄かったんです。
頭がぼぉっとして、身体が動けなくなるほどですよ。』
と振り返るほどだ。
そんな彼女に、さらに和歌子が
「さっ、あれ、今やってみな。」
と言って、背中をポンと押した。
押された感覚で我に返った華音有は、首を左右に慌てて振る。
でも、
「大丈夫。」
ウィンクまでされてしまった。