-The Real Me-
 少女の通う病院に電話が鳴り響いたのはそれから二時間後の午後11時だった。

「先生、吉野さんのお母さんからお電話です」
 医師はその言葉に苦悶の表情を浮かべた。

「…代わりました、何かご用ですか」

「もしもし、先生? 多恵がお世話になってます。フフフ、先生がお勧めしてくれたお薬…よく効いてるみたい」

「そうですか…他にご用は、それだけですか……」

「いえ別に、ただちょっと先生の声が聞きたくなっただけですわ…安心して下さい、娘はよく眠っていますから。死んだように…」
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