-The Real Me-
 少女が目を覚ましたのは翌日の早朝5時過ぎのことだった。
 手に残る感触、クローゼットに佇む血まみれのバット。どうか夢であって欲しいと願う少女の想いは叶わなかった。

 ガタガタと身体は震え、頭の中は真っ白になった。

「どうして、どういう事なの…何で私の部屋にこんなモノが……コレじゃまるで犯人は……」

 酷く動揺する少女。そこへ昨夜より、更に強烈な睡魔が襲ってきた。

「や、やだ…もう眠りたくない…眠りたくない……」

 震える手で指先にカッターナイフの刃をあて切り裂いていく。ポタポタと床に血が滴り落ちていった。
 痛みで睡魔を堪えようと試みたが、少女は再びまぶたを閉じた。



『…ねぇ、次はダレをコロセばいいの……』

『だ、だれなの…止めて、もう止めて』

『フフフ、大丈夫よもう少しで終わるから』

『私じゃない、私じゃない―――っ』

『みんな消してあげるから』

『いやぁぁやめてぇ――――っ』
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