-The Real Me-
 振り向くとそこには、白眼をむき出しにしながら今にも叫ばみだしそうな程大きく口を開け金属バットを振り下ろす姿が。

「ぐわぁぁぁ――――っ」

 ズドン!!

「がはーッ」

 間一髪のところで頭部への直撃は避けられたが肩を強打された。

 痛む身体で必死に相手を抑えこんだが、目の前の状況に混乱した。

「な、何で…何で、吉野……!?」

 余りの豹変ぶりに、すぐに見定めることが出来なかった中条だったが、それは間違いなく、吉野多恵だった。

「お前が悪いんだぁ――」

 数分前に会った少女の声、姿ではなかった。まるで悪霊に取り付かれたかのような。


「死ねぇぇ――――」

「吉野ぉ――――っ」

 中条は声を振り絞り、少女の名前を叫んだ。
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