-The Real Me-
　癒える事の無いキズを抱えながらも学校へも行くことにした。

　決して楽しい学校生活ではなかったが、密かに憧れ、想いを寄せている男子がいたからだ。

「吉野…大丈夫か…？まだ無理して学校来なくていいんだぞ……」

「中条君……。ありがとう、でも大丈夫…大丈夫だから……」

「そうか…何かあったらいつでも言えよ!?　すぐお前のクラスに行くから」

「うん、ありがとう。じゃあ、またね」


　彼がいなければ学校など、とっくに辞めていただろう。

　少女が唯一この学校で親しい存在は彼だけだった。


　それほど少女にとって学校という空間は、辛く、厳しい場所だった。

　それは最愛の父を亡くしてからでも変わる事はなかった。


「クスクスクス…」

　いかにも我の強そうな三人の女子生徒達が、少女の姿を見つけ、笑いながら声をあげた。

「えぇ～マジ!?　自殺したのーチョーウケる～」

「ダレのオヤジかは知らないけどね～キャハハハ」

「一緒に死ねばよかったのにねぇ～」

　少女の席から10mほど離れた席から、わざと大きな声を出し、周囲と、標的の反応を楽しんでいる。

　日常的に行われていた“イジメ”ではあったが、周りに止める者はなく、少女は、ただただ耐えるしかなかった。

　その余りに悪質なセリフは、少女の心を深く深く傷つけた。
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表紙・目次

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