-The Real Me-
 その夜、処方された薬を眺めながら少女はふと父の事を思い出していた。

「この薬、沢山飲めば死ねるかなぁ…お父さんに会えるかなぁ……」

 生きることに疲れ果てていた少女。大好きな父との余りにも突然の別れ。耐えがたい教室。

 少女から、この世への未練を絶ち切るには十分だった。


 そして少女は衝動にかられ、持っていた錠剤を次々に胃へ流しこんだ。

 数分もしないうちに、目の前の景色が回りだした。
 まるでジェットコースターにでも乗っているかの様に全身は揺さぶられ、頭は殴られた様な痛みが走った。

 少女はそのまま深い眠りについていた。



『……暗い…真っ暗……真っ暗だ』

『……ねぇ…アイツらがニクイでしょ』

『ダ、ダレ…ダレかいるの……』

『ワタシが…コロシテあげる……』

『ダレなの……』

『ワタシがクルシミをケシテあげる…』

『…………あっ……』



 ズキン、ズキン…。

 後頭部の鈍い痛みで少女は目を覚ました。

「ゆ、夢……」

 汗ばんだ掌を指で擦った。何かの感触を確かめるかのように。
 急いで仕度をし、気だるさと目眩の残る身体で学校へ向かった。

「ま、まさか……」
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