再会の誓い
「あと少しで行かないと」
彼がフライト情報を知らせる掲示板を見上げてつぶやく。
行かないでほしい……
彼のコートの袖をぎゅっとつかむと、振り向いた彼が私の頭を撫でた。
「笑えよ」
「無理だよ」
私は不安で切なくて、悲しい気持ちでいっぱいなのに。
無神経な彼の言葉に涙が出そうになる。
目を潤ませていると、頭にのせられていた彼の手がすっと頬におりてきた。
頬を包み込む彼の大きな手が、うつむき続ける私の顔を上に向かせる。
「笑って」
目を合わせた彼の瞳が、淋しそうに小さく揺れる。
そんな目をされても、笑えない。
首を横に振ると、彼が私の腕をつかんで引っ張った。
そうして、私を人目に触れない壁の影へと連れて行く。