【貴方と本当のキスがしたい。】(*ラブコスメ参加作品)
女の子なら誰でも
健康的な唇を手に入れられる。
甘い恋をしたくなるような
甘いキスをしたくなるような
そんな魔法が詰め込まれているような
そんな気がした。
以来、私は
プレゼントされたグロスをつける度に
夢の中で藍原さんとキスをする。
そんな想像と妄想をするようになった。
夢の中なら誰にも怒られない。
誰にも迷惑はかけない。
でも、本当は会いたい。
会って彼と本当のキスがしたい。
でも、もう会えない。
想いが溢れて苦しくなる。
諦めなきゃいけないから…。
けれどそんなある日、私の携帯に
一本の電話がかかってきた。
『…水越美紅さん。
君は、来年4月から
【IHRA総合産業社】に入社して貰う。
仕事は俺…藍原統弥の専属秘書だ。
俺の仕事の補佐をして欲しい。
…勿論、拒否は許さない。
水越主任にも
営業課長に昇格する条件と引き換えに
君の入社を認めさせたから。』
それは、今一番声を聞きたかった
あの人からだった。