【貴方と本当のキスがしたい。】(*ラブコスメ参加作品)
***数日後
「…こんにちは。
お待ちしておりました、棚藤常務。
第一会議室に
副社長と専務がお待ちです。」
会議室の扉の前まで案内すると
「はい、これお土産。
…美紅ちゃんの為に買ったんだから
後で絶対食べてよね。」
そう言って渡された
有名な洋菓子店のシュークリーム。
「…あっ、いつもすいません。
そんなにお気をつかわれなくても…。
コーヒーを後でお持ち致します。」
そう言って一礼すると
「…いつものブラックでよろしく。
それと…今日こそ、食事でもどう?」
と、私を口説こうとするその人に
「…すいません…失礼します。」
そうやんわりと笑顔でお断りすると
「…俺さ、本気で美紅ちゃんの
その艶々の唇を狙ってるんだぜ?
俺が貰ってしまいたいのに。」
棚藤常務はフッと笑うと
扉を開けると
副社長や専務達が待つ中へと
入っていった。
扉が閉まるのを確認して
私はシュークリームの箱を持って
給湯室へ向かって歩き出す。
…ふうっ。
息を一つ吐いて
私はコーヒーを入れる為に
カップを棚から取り出した。