【貴方と本当のキスがしたい。】(*ラブコスメ参加作品)

***

IHRAに到着した私は

兄に案内されて

なぜか、営業部のオフィスへと

足を踏み入れ

営業部長さん達に挨拶させられた。

緊張して疲れた私は

一人でオフィスを出て

近くのエレベーターに乗ろうとした。

その時、開いた扉の向こうに

長身でイケメンの男性が

立っているのを見て思わず固まった。

「…どうかした?乗らないのか?」

首を傾げた男性の声にハッとした私は

「…あっ、すいません!!」

と、慌てて乗り込んだ。

すると

「…君…見慣れない顔だな?
どこの部署の社員だ?」

と、話しかけられた。

「…あっ、いえ、その…。
私…この会社の営業部の…。
水越彼方の妹の美紅と言います。
兄の忘れ物を届けに来まして…。」

私は緊張しながら答えると

「…君が水越主任の妹か…。
本人から聞いた事があるよ。
『可愛い自慢の妹がいる』ってね。」

突然の予期せぬ言葉が降り注ぎ

「…えっ!?」

驚いて思わず顔を見上げると

「…確かにその通り可愛いな。
君が妹の美紅さんか。
まさか、ここで会えるとは
…俺も幸運だな。」

そう言って、私を見下ろしながら

優しそうな瞳をして口元を綻ばす

この男性こそが

後に私が切ない片想いをする事になる

…藍原統弥専務だった。









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