続・心友。~もうひとつの想い~
「うわっ、めっちゃ割れてるやん!」
マリアに手渡されたそれは、銀ぶちのフレームがぐにゃっと曲がっていて、レンズは左右ともに大きなひびが入っている。
悟に殴られたときに吹っ飛んで、それから踏まれてつぶされたのだろう。
驚く堂前を見て、マリアがアハハと笑い出した。
「無残やな」
「うん。ウチらみたい」
堂前も何だかおかしくなってくる。
「何も……訊かんの?」
そんな堂前に、マリアはそう言った。
「え?」
自分が泣いていたことを言っているらしい。
「悟やったら、『どーしたん?』『なんで泣くん?』『何が悲しいねん?』って、めっちゃうるさいで、たぶん」
楽しいことを思い出すように、マリアは言った。
「あいつ……いい彼氏やったんやろーな」
そんなやりとりが目に浮かぶ。
「うん」
マリアは大きくうなずいた。
「ウチは全然いい彼女じゃなかったけど、な」
マリアはポツッとそう言った。