続・心友。~もうひとつの想い~

「僕はもう沢渡さんには近づかへんって決めてるから……。やっぱりキミとつきあってるフリはできへんわ」




こんなに仲の良いマリアと藍だ。


マリアの彼氏だということになれば、自然と藍の目にも留まるようになる。


そうなれば、きっとあの子は……。




「なんで? 楡崎と似てるから気にしてんの?」


堂前の思考をさえぎるように、マリアは言った。


「え」


何も気づいていないように見えて、案外マリアは全部お見通しのようだ。




「沢渡さんに、もうイヤな記憶を思い出させたくないねん」


そう言った堂前を、マリアは小さく笑う。




「あんたが近づかへんからって、藍の記憶が消えるわけやないよ?

いちいち言わんけど、あの子はいつもその記憶と戦っていて……、自分なりに一生懸命折り合いをつけてる」


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