続・心友。~もうひとつの想い~

「立てる、立てる」


柔らかな手の感触にあわてて、堂前は立ちあがったが、マリアの手は離れなかった。




「んじゃ、帰ろか」


手をつないだまま、そう言って見あげ、笑いかけてくる。


え……?




取りあえずコンクリの上に置いたかばんをそれぞれ拾い上げ、そのまま階段を下りかけて、堂前は足を止めた。


自然に離れると思っていた手は、今も彼の手をキュッとつかんでいた。




あんまり可愛く、しかも当たり前のようにそうするから、堂前は、戸惑う自分のほうがヘンなのかとさえ思えてくる。




もうつきあってるフリは始まってるのか?

いや、まだ同意したわけではないし、そもそも手などつなぐ必要はない。

ならんで歩けば済むことやし……。




頭がこんがらがってくる。


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