続・心友。~もうひとつの想い~

「プハハ、そーかも」


そう笑ってから、マリアは困ったようにつぶやいた。




「ウチも、もう忘れたい……悟のこと」




無邪気で可憐な笑顔と、
苦しげに、まつげを伏せる大人びた横顔。


くるくると変わるマリアの表情に堂前の心が揺れる。




「でも堂前は迷惑やんなぁ? ゴメン、ゴメン」


今度は素直に頭を下げ、マリアはパッと手を離した。






不意に自由になった左手が軽い。




「さっ、帰ろっ」




先に階段を下り始める後ろ姿。


凛と伸びた背筋。


残像をのこして揺れる白い手。




次の瞬間-――




その手を追うように、堂前は自分の手の中につかんだ。




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