続・心友。~もうひとつの想い~

「普通は女の子の手を握ったら、ウソでももっとうれしそうにするもんやで」


マリアが諭すように言うと、堂前はケロッと言った。


「え、うれしいよ」


「ウソばっかり」


「だけど、今はほら、つきあってるフリやから」


「ん……?」


言ってる意味がちょっとわからん……。




「行き掛かりとはいえ、もう始まってしまったんやし、ちゃんと偽の彼氏になりきろうと思ってる」


「はぁ……」


「なのに公私混同して喜んでたら、なんかキミに悪いやろ? だからこの際、自分の感情は抑えとこうと思って」


「そ……う」


説明を受けても、マリアにはよくわからなかった。




公私混同って……。『公』はないやろ、この場合……。




「まー、あんたは大好きな藍を安心させるために、こうしてウチとつきあうフリをして、気乗りしないながらも、ウチの手を握ってるだけやもんな」





マリアはハ~とため息をつく。


ため息でもつかなければ、自分だけがこの手にドキドキしたりしてバカみたいなのだ。


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