続・心友。~もうひとつの想い~

「ゴメンね。余計なことを言ったわ」


そう言うと、くるっと踵を返し、パタパタと駆けていく後ろ姿。


その背中を見送る堂前を、マリアはポカンと眺めていた。




まさか堂前が、あんなことを言うなんて……。


いや、あれはつきあってるフリの延長にある、本気かどうかもわからん言葉なんやけど。




それでも、いつも心ない言葉にさらされているマリアにとっては、ウソでもうれしい言葉だった。


しかも『マリア』って、恋人らしく呼んでくれてた……。




「どう? 今の」


ちらっと堂前がマリアを見る。


「うん。偽彼氏としては完璧な受け答えやったけど……。よかったん? 可愛い子やったよ」


マリアが訊くと、堂前は


「それはええねん」


とだけ答えた。




「さっすが頭ええねんな。心にもないことを、あんなにスラスラと言えるなんて」




『心にもないことを』という部分を否定してほしくてマリアは言ったのに、堂前は「アハハ」と、朗らかに笑う。


< 125 / 133 >

この作品をシェア

pagetop