続・心友。~もうひとつの想い~
「ゴメンね。余計なことを言ったわ」
そう言うと、くるっと踵を返し、パタパタと駆けていく後ろ姿。
その背中を見送る堂前を、マリアはポカンと眺めていた。
まさか堂前が、あんなことを言うなんて……。
いや、あれはつきあってるフリの延長にある、本気かどうかもわからん言葉なんやけど。
それでも、いつも心ない言葉にさらされているマリアにとっては、ウソでもうれしい言葉だった。
しかも『マリア』って、恋人らしく呼んでくれてた……。
「どう? 今の」
ちらっと堂前がマリアを見る。
「うん。偽彼氏としては完璧な受け答えやったけど……。よかったん? 可愛い子やったよ」
マリアが訊くと、堂前は
「それはええねん」
とだけ答えた。
「さっすが頭ええねんな。心にもないことを、あんなにスラスラと言えるなんて」
『心にもないことを』という部分を否定してほしくてマリアは言ったのに、堂前は「アハハ」と、朗らかに笑う。