続・心友。~もうひとつの想い~
「昔、思い切って話しかけようとしたとき、あの子は一瞬身を固くして、おびえた目で僕を見あげた」
そのときの情景を思い起こすように、彼は話した。
「よく見てると、それはどうも僕だけにではないようで……。なんてゆーか、男が……怖いんかと思った」
長身の堂前が、少し目を伏せる。
「そんなあの子に『つきあって』なんて、よう言わんかった」
うんうん、と大きくうなずくユキ。
「そうして、ずうっと見守ってきた藍が、何をまちがったか悟なんかとつきあい出したんやから、もうパニックやんなぁ?」
遠慮なくユキが言う。
「悟なんか、ってことないやろ」
とマリアはまだ怒っている様子。
「言うとくけど、藍と悟はほぼ両想いやったんやからな。
悟が強引に押したわけでもないし、ましてやウチが引っつけたわけでも、な・い・か・ら」
とりわけ語尾を強調して、堂前に言い返したマリアの腕を、ユキがクイクイ引っぱった。