続・心友。~もうひとつの想い~
渡り廊下を3人で駆け抜け、校舎にあがろうとしたとき、藍が、ちょうど下りてきた男子生徒とぶつかりそうになった。
「キャッ」
よけたはずみで転びそうになった藍の腕を、その男子がグッとつかんで支える。
知らない顔だ。
細身の長身。
茶色がかった髪がさらっと揺れて、色白で彫りの深い顔にフワッとかかる。
筋の通った高い鼻にメタルフレームのメガネ。
その奥に光る涼やかな瞳が、まっすぐ藍に向けられていた。
「髪……切った?」
静かにささやくような響き。
「え?」
戸惑ったように藍が答える。
「ちょっと切りすぎ……た」
藍のその言葉に、冷静だった表情がふっと優しく緩む。
自然に離れるタイミングを完全に逸して、彼の手はまだ藍の腕をつかんでいた。