続・心友。~もうひとつの想い~
「なぁ、マリア」
ふいに向かいの席から声が飛んできた。
「え?」
我に返ると、真向かいに座ったユキが、テーブルに低く身を乗り出していた。
「また見てるで、堂前くん」
声をひそめて、ユキが言った。
それとなく振り向いて、ユキの目線の先を追う。
「ゲ、ほんまや」
通路を挟んで向こう側に藍の背中が見えて
さらにその斜め向こうに堂前が陣取り、ランチを食べていた。
秘かに藍のことを眺めながら……。
「うわ……。マジか」
「なんか怖いな」
ユキもかなり引いている。
「あ、でも……」
今、藍が、となりに座る友達に向かって楽しそうに笑ったとき、堂前の顔がそれに見とれて、ポワンとなった。
そして一瞬にして我に返り、そのポワンをごまかすかのように、ガーッと定食のご飯をかっこんでいる。