続・心友。~もうひとつの想い~
でもそれよりも何よりも、顔に浮かんだものがある。
藍の笑顔。
あの子がどんなことに笑うのか、知っている。
どんなことに涙するのかも、知っている。
そして――
藍がそれまで、どんなに傷つき、泣いてきたのかも……。
藍は、自分が原因でマリアがフラれたと知って、その恋に手を伸ばすことができるのだろうか……?
あの日窓の外を眺めながら、マリアはそんなことを考えていた。
悟なら、藍を幸せにできると思った。
傷ついた心を癒してくれると思った。
いい加減なところのある自分を、ずっと一生懸命に想ってくれていたそれまでの悟。
その真心に返せるものが自分にあるとしたら、
もうそれぐらいしか残ってはいなかった。
大好きな悟のためにも
大好きな藍のためにも
今、自分が引くことがベストな選択だと、
あの日マリアは思ったのだった――。