続・心友。~もうひとつの想い~
なんやったんやろう、あの余裕……。
悟とつきあっていた頃よりも、
別れた直後よりも、
今が一番、彼に惹かれているのかも知れない。
そんなことをマリアは感じている。
藍を真面目に想う悟を見て、
仲睦まじい二人を見て、
かつての自分の位置を、どうしても思い出してしまう。
自分が粗末にしていたものを思い出してしまう。
失ったものを突きつけられて、
それがもう二度と、自分の手には戻らないのだと知り、泣き出しそうになる……。
「マリア、ユキ~。先にベンチのとこでジュース飲んどくな」
通路のほうから声がかかった。
見あげると、食事を済ませた藍が席を立ち、小さく片手をあげている。
「あ……」
今、マリアの向かいに座る悟に気づき、藍の顔がふわっと和らいだ。
それに答えるように「うん」と2回、
悟がひょこひょこと照れくさそうに、うなずく。