続・心友。~もうひとつの想い~

なんやったんやろう、あの余裕……。


悟とつきあっていた頃よりも、
別れた直後よりも、


今が一番、彼に惹かれているのかも知れない。


そんなことをマリアは感じている。




藍を真面目に想う悟を見て、
仲睦まじい二人を見て、


かつての自分の位置を、どうしても思い出してしまう。


自分が粗末にしていたものを思い出してしまう。




失ったものを突きつけられて、

それがもう二度と、自分の手には戻らないのだと知り、泣き出しそうになる……。




「マリア、ユキ~。先にベンチのとこでジュース飲んどくな」


通路のほうから声がかかった。


見あげると、食事を済ませた藍が席を立ち、小さく片手をあげている。




「あ……」


今、マリアの向かいに座る悟に気づき、藍の顔がふわっと和らいだ。


それに答えるように「うん」と2回、


悟がひょこひょこと照れくさそうに、うなずく。


< 39 / 133 >

この作品をシェア

pagetop