続・心友。~もうひとつの想い~
校門から校舎へ向かう道の、木々の間にあるベンチ。
藍たちはよく昼休みに、そこでジュースを飲みながら、おしゃべりをしている。
学食を出るとき堂前がふと目をやると、マリアの向かいには、あの2年生が座っていた。
『悟』とかってヤツだ。
藍に声をかけられても席を立つことはなく、ふたりはとても親密そうにしゃべっていた。
まー、となりにもうひとりユキって子もいたけれど。
意味わからんし……。
別れた男女があんなふうに仲良くしていることが引っかかる。
藍の不安げな顔が目に浮かんだ。
お気軽なふたりに振り回されて、もしかして藍はつらい思いをしてるんじゃないのか……?
その心配が彼の背中を押した。
一歩、足が前に出る。
それは、彼がずっと踏み出せずにいた一歩だった。