続・心友。～もうひとつの想い～

「なぁ、今の誰？」


藍と並んで階段を駆けのぼりながら、マリアが訊いた。


「え？」


「さっきの子、誰よ？」


マリアの問いに、藍がケロッと答える。


「さぁ、知らん」


「え、知らん子なん？」


「うん」


「髪切った？　とか訊いてたで」


「う……ん」


藍は思い出せないらしい。




藍が髪を切ったのは数日前だ。そのことを今まで知らなかった様子だったから、あの男子生徒はもちろん同じクラスではない。


顔も知らんしな、とマリアは考える。



藍が長い髪をバッサリ切ってきた日――。


そう、その日マリアは藍を連れて、体育館でやっている卓球部の練習を見に行った。


卓球部を見に行ったというより、自分の元カレ悟に会いに行ったのだ。


悟と藍を会わせに行き、そうして“元カレ”は“友達の彼氏”となった。




……それが数日前の出来事。